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天王寺駅の怪 後編

もう7月になりますが、まだまだ梅雨明けとはほど遠く、どんよりとした天気の中気分もどんよりしそうなBJのぶです。

さて前回、天王寺駅の怪 前編というブログを書きました。
すぐ後編を書こうと思ったものの、もっと資料を集めたりして・・・ってただの言い訳になるけど、なんだかんだで先延ばしにしてしもて、ようやく書ける見込みが来ました。
待ちくたびれて、「もうええわ」と思う人も多いと思うけど(笑

さて、俺をはじめ普段から使っとる人には普段すぎて何の不思議も感じなさそーな駅にも、さりげなくミステリアスな歴史が詰まっとることがあります。今回は、そんな歴史の異物・・・もとい、遺物を解いてみようと思います。

まずその前に、阪和線が「阪和電気鉄道」やった頃の、天王寺駅のホーム配置から説明せんとあきません。

20140713-1

まず、当時のホームの基本構造はこの通りです。
変わってへんっちゃ変わってへんのやけど、ホームは今より少なめで、①~④番線と⑨番線ホームは当時は存在してません。
当時の資料を元にペイントで描いてみたんやけど、毎度の如く絵描きのセンスがあらへんせいで、小学生の似顔絵レベルになっとります(笑 やさしい方は、そこはツッコミ入れないでね。ツッコまれたら傷つきます(笑
図の上の広いホームが、

14040605

この5~6番ホームと理解して下さい。

で、この図に当時の線路の配線を描くと、

20140713-2

こんなふうになります。これを「図②」としておきます。
線路だけやなくて「乗車専用ホーム」「降車専用ホーム」も加えられとることが、今回の謎を解く重要なキーワードやったりします。
「乗車専用ホーム」と「降車専用ホーム」は今の鉄道でもあるんやけど、昔の分け方は今とはちょっと違っとりました。
昔の電車は編成が1両とか2両とかという、今と比べたらのんびりとした両数でした。
それは阪和電鉄にかぎらず、たいていの鉄道がそうでした。今は10両の、大阪市営地下鉄の稼ぎ頭の御堂筋線も、昔は1両だけやったしね。あの長~~いホームに1両だけってのは非常に寂しいもんがあるんやけど、御堂筋線のすごかったことは、
「今は1両やけど、いつかこの長さでも足りない時が来る。
なら最初から100年後対応のホーム作ってしまえ」

と、100年後を見越したホーム設計になっとったことです。梅田~天王寺間は、後で両数の増加でホームを延ばしたんやなくて、開業当時からあの長さやったんです。当時は、「街の真ん中に空港作る気か!」と叩かれた御堂筋の道幅と共に、あまりに長いホームに「アホちゃうか」「税金の無駄遣いしよってからに」と市民に散々叩かれたんやけど、地下鉄建設の英断を下した当時の大阪市長、関一(「せきいち」やのーて、「せきはじめ」でっせ)の先見の明が80年後でもちゃんと生かされとる事実と、80年前には一般市民には想像もつかへんかった10両でも、実は理論的にはまだ1両分余裕があることに、大阪人は驚かんとあきません。
せやけど、開業当時は今みたいに停車するドア位置に印がついてたわけやない上に、停車位置も運転手の気まぐれやったさかい、ホームの進行方向の端っこで待ってたら、逆方向にちょこんと止まってしもて、
「そこの電車、待ってくれ~!」
と慌ててダッシュで端から端へ走った、ちゅー笑い話もあったそうです(笑
せやけど、当時の鉄道はやっぱしのんびりしたもんで、「待って~!」言うたらちゃんと待ってくれとったそーです。

話が外れそうになったけど、阪和電鉄の「乗車」「降車」は、ホームの縦割の構図になっとります。
文字で説明すると、天王寺駅に入った電車は、まず「降車ホーム」で止まり、乗客を下ろします。乗客を下ろした電車は再びホームの奥に入り、「乗車用ホーム」で止まって乗客を乗せる、ということです。
これは何も阪和電鉄独特のやり方やありません。当時の関西の私鉄じゃ珍しくないことで、昔の京阪のターミナルやった天満橋駅や、近鉄の上本町駅も同じやり方でした。

それはそれでええんやけど、下ろした乗客はどこへ行くのか?という疑問が残ります。
そのままホーム沿いを出口方向へ歩いて行ったら、わざわざ乗車と降車を分ける必要あらへんし、降車した乗客とホームで待ってる乗車の客がホームでぶつかってしもて、効率が悪くなること間違いなし。
そこはちゃんと対策があったんです。そこで図③の登場。


20140713-3

この図での追加は、降車ホームから出口に伸びる地下通路の存在。
これ、俺の妄想で作ったんやありませんで、ちゃんと資料に書いとったさかい(笑
これを見たらわかるよーに、天王寺駅で下りた乗客は、出口専用の地下通路を渡って、駅の外に出る仕組みになっとりました。

14040614

もし、今でも地下道があるとしたら、このホームの真下にあるはずです。
そして、その出口がどこにあったのか。

140713-4

前編でアップした、戦前の天王寺駅を別アングルで写したもんやけど、右に六角形っぽい建物が見えます。
ここが、降車ホームから地下通路を渡った出口で、逆に乗る時は左の入口から入るという仕組みになっとりました。
これはこれで効率ええけど、両数が増えていくと「縦割り」の乗車・降車ができへんよーになってきて、このシステムもいつの間にか廃止になってしまいました。そもそも国鉄はそんなシステム採用してへんかったさかい。

14040617

そして、地下道の出口は今のこのあたりやと推定されます。
地下道は出口に向けてまっすぐ進んで駅舎の外の出口へ通じてたらしいさかい、「まっすぐ」行くとここあたりになります。
そして、ちょうどええとこに地下に通じる道もあったりするんやけど、もしかして私鉄時代の地下道を再利用でもしたんかな?

14040613

昔の駅構内図をベースにしたら、この小屋あたりに地下道への入り口があったことにゃ間違いないんやけど、もしかして小屋の中には今でも地下道への秘密の(?)入り口があるのかも!?それか、地下道を埋めたりするんは面倒臭いさかい、小屋を作ってフタをしただけなんか(笑

その肝心の地下通路がどないなっとるんかは、関係者以外・・・いや、JR天王寺駅で働いてる駅員でも、もしかして存在を知らん人がおるかもしれません。
せやけど・・・・


140713-5

電車が止まってへん時にふとホームの下を覗いたら、「何か」のスペースがある気配が。
ここ、明らかに昔地下通路があったところなんやけど、明かりまでついてる気配もありました。
もしかして、スペースを今でも何かに使っとるんかもしれませんな。何に使ってるんかは知らんけど。JRの関係者さん、こっそり教えてくれへんかな?(笑

そして、最後の謎の

14040606

このグニャっと曲がった線路の構図やけど、グニャっと曲がった部分から奥が昔の「降車ホーム」やったわけで、さりげな~くやけど、昔の遺物が線路の配線とホームの不自然な曲がり方という形で残っとる、というわけです。

せやけど、図②とくらべたらちょっと変な感じがします。
当時の②番線と③番線の間には、線路がもう一本あるさかい、かなりスペースが空いてるはずです。
まあ、これは何ということもない。のちに要らない子扱いされた線路を埋めるように、ホームが拡張されたんやろう。


140713-6

図に今のホーム配置(俺の強引な推定を多少含む)を描いてみたら、こんな感じです。
jpegにしたら画質が下がってしもて、ちょっと見にくいとこがあると思うけど、そこは読んでるみなさんの想像力で適当に補正しといて下さいな(笑


わかってみたら実にあっけない「謎」やったけど、それでも掘り下げてみたら実にいろんな発見があります。
エジプト考古学で有名やった吉村作治教授(最近見かけへんけど、何してるんやろ?)は、
「今から数秒前でも、過去である以上立派な考古学」
みたいな言葉を言うてはったけど、考古学は何も土に埋もれた数千年前の土器の破片を集めるだけが考古学やありません。
天王寺言うたら、今やほぼイコールな阿倍野橋地区。
そこに「あべのハルカス」という日本一の高さのビルが最近できたんは、かなりニュースになっとるさかい知ってる人も多いと思います。あべのハルカスもええけれど、そこの足元に埋もれた「近代の遺跡」を見て、「近代考古学」に思いを馳せてみてもええんちゃうかな~と思える、今回の「発掘」でした。

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